Q.内容証明郵便で受取拒否や不在の場合どうなるか教えて下さい。

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Q.内容証明郵便で受取拒否や不在の場合どうなるか教えて下さい。

意思表示が相手方に通常到達すべき方法でされた場合において、相手方が正当な理由なく到達のために必要な行為をせず、

そのためにその意思表示が到達しなかった場合には、その意思表示の到達が擬制される(みなされる)ものとすべきである

という考え方が提示されている。

▼受取拒否/受取拒絶
~相手が内容証明を受け取らない場合~
(1)内容証明に、受取拒否の紙(受取を拒否されましたと記載された付箋)が付けられ、差出人に内容証明が戻されます。
(2)相手が受取拒否をしても、相手に届いたものとして扱われます。
(3)「受取拒否の紙が付いた内容証明郵便」を保管して下さい。内容証明が相手に届いた証跡になります。

▼関連法令 民法第97条第1項

第97条(隔地者に対する意思表示)
1 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにそ

の効力を妨げられない。

民法97条1項によれば、意思表示は相手に「到達」したときに効力が生じることとなっています。
内容証明による意思表示も、相手に、内容証明が「到達」したときに効力を生じます。

▼到達/拒絶
「到達したとき」とは、相手方が実際に書面そのものの内容を了知する(確認する)ことを必要とせず、相手方がその意思

表示または書面を了知できる支配圏内に入ったときをいいます。
また、内容証明郵便の受取を相手方が拒絶した場合、内容証明郵便に記載された意思表示・意思の通知は到達したものとみ

なされる、との判断がなされています。

▼家族の受取
内容証明郵便が郵便ポストに投函されたり、同居の親族、家族、雇人(社員)などが受け取れば、本人が了知しなくても到

達と判断されます(届いたことになります)。

▼判例:最高裁判決昭和43年12月17日
隔地者間の契約は、期間内に承諾の通知が届いていれば承諾の通知を発した時に成立するが(民法第526条1項、97条1項)、

本人以外が受け取った場合について判例は「到達とは、相手方によって直接受領され、または了知されることを要するもの

ではなく、意思表示または通知を記載した書面が、それらの者のいわゆる支配圏内におかれることをもって足りるものと解

すべきである」(最判昭和36年4月20日、最判昭和43年12月17日)としている。

▼判例:大審院判決昭和11年2月14日民集15巻158頁(受取拒否)
相手方が正当な理由なく意思表示の受領を拒絶し、又は受領を困難若しくは不能にした場合には、意思表示は、本来到達す

べき時期にみなされる。
賃貸人に対する延滞賃料の支払催告と解除の内容証明郵便が、内縁の妻によって、本人の長期不在等を理由に受領が拒まれ

た事例において、実際にも、本人は不在がちで、たびたび外泊しているという事情があっても、その催告と解除の意思表示

は内縁の妻による受領拒絶の時に到達したとされた。
東京地裁判決平成10年12月25日金融法務事情1560-41
東京地裁判決平成5年5月21日判例タイムズ859-195
大阪高裁判決昭和53年11月7日判例タイムズ375-90
大審院昭和11年2月14日判決・民集15-158

▼判例:大審院判決昭和9年10月24日(例外)
債権譲渡通知の内容証明郵便について、債務者の妻が,本人が旅行中であること等を理由に再配達を求めたという事例にお

いて、この受領拒絶の日ではなく、再配達の日に到達があったとされた。

▼不在の場合/留守の場合
(1)相手が不在の場合、郵便局に内容証明を持ち帰ることになります。
(1)通常は、数回再配達が行われます。
(1)保管期間(=留置期間)の原則7日以内に、郵便局に取りに来てくださいという内容が記載された「不在通知」が投函

される。
(1)保管期間を過ぎると「受取人が不在で配達できないため還付」と記載された付箋が内容証明に添付され、差出人に返還

されます。

▼判例不在の場合で、内容証明が差出人に返還された場合、「到達した」・「到達していない」と判例が分かれています。

平成10年6月11日最高裁・第一小法廷・判決
遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合に意思表示の到達が認め

られた事例

遺留分減殺の意思表示を記載した内容証明郵便が受取人不在のため配達されず、受取人が受領しないまま保管期間(7日間)を経過したため差出人に戻ってきた場合に、受取人が、不在配達通知書の記載その他の事情から、郵便内容を十分に推測できたこと、また、受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、容易に受領できた事情があるときには、郵便の内容である遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、知ることが可能な状態に置かれ、遅くとも保管期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる。

▼判例等の解説
(1)書留の差出人を見れば、通常、内容証明に何が記載されているか分かる。
(2)意図的に不在を装うことも可能。
(3)受取拒絶で不在としている場合、居留守としたほうが得。ならば不公平。
(4)下級審の判例では、認められたり認められなかったり、判例が分かれていた。
(5)平成10年6月11日の最高裁の判決では、「本人がその気になれば受け取ることができる」という理由から内容証明に記載されている内容は、到達したと見なされるようになった。
(6)不在を装うことは認められにくくなった。
(7)不在を相手が装っている場合は、再度内容証明を出して、裁判を有利に運べるよう、相手の受取拒絶の意思を立証し易くするのも一手かもしれません。

※ クーリングオフの場合は手違いで届かなかったとしても効果あり。

▼宛先不明

(1)宛先不明の場合、「宛先人不明」で差出人に郵便が戻されます。
(2)内容証明郵便は相手に届いていることにはなりません。

▼宛先不明の場合の対策
(1)調査して、新住所に再度送付する。
(2)「公示送達」を利用して意思表示を行う。

▼公示送達とは、民事訴訟法上の特殊な送達方法の一種で、送達したい文書を裁判所の掲示場に掲示し、掲示したことを官報や新聞に掲載し、裁判所が最後に掲示をした日から2週間が過ぎると、相手に差出人の意思表示が「到達した」とみなされる制度です。

(1)通常必要と認められる調査(市町村役場での住民票・戸籍謄本・登記簿調査、現地近隣者に聞き込みの調査)後、尚も住所が不明である場合
(2)相手が最後に住んでいた場所を管轄する簡易裁判所に公示送達の申立ての実施。
(3)掲示
(4)2週間経過
(5)意思表示の到達

公示送達雛形
http://www3.ocn.ne.jp/~tdc21/hudousan/h-uke-base.html

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